父のバースデーディナー~小笠原伯爵邸での晩餐~

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2月は父と兄の誕生日。土曜日の夜は、父が行きたがっていた小笠原伯爵邸でディナーをする。
この邸宅が建てられたのは1927年(昭和2年)のこと。小笠原伯爵家第30代当主・小笠原伯爵の本邸として、スパニッシュ様式を取り入れて建築された。当時の貴族達が集い、社交の場を繰り広げた本物の貴族邸宅でのディナーである。兄は芦屋から新幹線で来、久しぶりの家族4人での外食となった。



タキシードを着たギャルソンに温かく迎え入れられ、まずは政治家が集うような重厚なシガールームに案内される。
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30分遅れてくる兄を待つ間、ここでドライシェリーを飲む。今考えると、このとき空腹にシェリーを染み込ませたのが最大の失敗だったかも。
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レストルーム。洗面所が可愛らしく、思わず顔がほころぶ。
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レストルームの内装。シャンデリアとマロンカーテンがロマンチックで思わず見惚れてしまった
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兄が到着し、窓際に案内される。まずは白ワインで乾杯。テーブルフラワーはスペインらしくカラ・リリー。この花の朱色に触発されたのか、美大の課題提出を終えて解放感に浸りたかった私は、白ワインを勢い良く口に運ぶ。
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●タパス ムルシアの夫婦、カリフラワーのクリーム 林檎・いくら・雲丹添え、フォアグラとメンブリージョ   
タパスは丁度良い塩味で美味。フォアグラが大好きな父は、美味しいと言って喜んでいた。嬉しい。
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●25種類のフルーツとグリーン野菜、パセリ・バルサミコ・オリーブオイルのドレッシング
ドレッシングが温野菜サラダをまろやかに包んで美味。
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パンが出される。フレッシュでコクのあるオリーブオイルにパンが進む。

●マッシュルームとイベリコハムのスープ  
「甘酒を飲み干すようにお飲みください」とギャルソン。その通りにぐいっと飲み干す。きのこの深いコクが◎。
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この時点で、かなり酔っていたのだろう。私は、満足そうに顔をほころばしてワインを飲む父と、ちょっと神経質そうに食べながら話す兄、兄の話を聞きながら満足そうに食べる母の顔をぼぉ~っと眺めていた。そして、何となく、「この人たちを家族に与えられた自分は恵まれている」と思った。そして、「私は『この人たち』に生まれてこの方、与えられてばっかりだ。何かの形でお返ししなければ。よし、この場は私が持とう!」と急に決意してしまった。酒は人生を狂わす、と言うが、お酒の力は恐ろしい。

●二枚貝のグリーンソース   
みる貝、二種類の蛤、ムール貝、ホタテ。やわらかい貝の食感と香りを楽しむ。
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私は引き続き自分がこの場を持つことについて考えた。父は自分が持つ気で当然いるだろう。父の面子を考えるとどうなのか。。。でも、これを機会に家族に恩返しをしたいという私の気まぐれは、もはやある種の義務感となって頭の中に定着してしまった。

白ワインのグラスが空になり、メインの前に赤ワインをオーダー。お酒が大好きな父がソムリエと念入りに相談して決める。小笠原伯爵邸お勧めのワインらしい。切れがあってさっぱりした辛口の赤。・・・飲まなきゃいいのに、私はぐいぐい呑んでしまった。
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●平目のソテーと松の実のヴィネグレット  
平目は柔らかく、あっさりして美味。この時点で、私の目の前は急に揺れ動き、ぐるぐる回り始めた。やばい。
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●鯛のピネピネソース
兄と父は小鳩のローズ風味ソース。小鳩はフォアグラのような味だったとか。鳩が苦手な母は牛フィレのステーキ。お酒にやられた私の舌は食感しか感じない。
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●アロッス・マリネロ スペイン風リゾット 
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この後、私以外の3人はフロマージュをオーダー。私も食べたかったけれど、とてもじゃないけど酔いが回ってそれどころじゃない。チーズの匂いが鼻について気持ちが悪い。新人研修で酔って倒れ、同期の厄介になった記憶が蘇る。ここでそんなことはできない、と家族にばれないように必死で深呼吸をする。

●抹茶、バジル、ピスタチオ、フランボワーズのアイスクリーム 
これは一口食べてパス。
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●密柑のタルト チョコレートソース 
これもパス。父・母・兄はカフェを頼んでいたが、私はミネラルウォーターを頼み、レストルームで一呼吸。一瞬眠ったかも。その後、お会計を済ませるべく受付に。会計は、一瞬呼吸が止まるほど高かった。でも、意を決してカードで支払う。
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●小菓子 これもパス(笑)
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サービスで父と兄に誕生日ケーキとキャンドル。そして、ポラロイドで記念撮影。
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お店からのこの後、ギャルソンによる邸宅内ツアーがあり、まるで伯爵に招かれた友人のような気分に。グランメゾンらしく、スタッフ全員のサービスがとても丁寧で感じ良く、心地よい。
帰りに私が会計を済ませたことを知った父は案の定驚いていた。というか、私の唐突な行動を理解しかね、当惑していた。お父さんが払う、と後で言われたが、私は請合わなかった。父はどう思っているのか・・・。後で何か別の形で倍になって請求されないかと冷や冷やしているかもしれない(笑)。人間は、与えられたら与えずには居られない生き物なのではないか、と何となく思う。

ちなみにここの評価は☆3つ。グランメゾンと呼ぶに相応しい空間とサービス。ただ、料理の味そのものは、標準的というか、まるで結婚式のコースを食べているみたいだった・・・。お酒が回っていたせいもあるのか、ガニエールのような、一口食べただけでぐっと心を掴まれる様な体験はない。ただ、ガニエールの方が値段が3倍近く高いから値段相応なのかも・・・。料理の味を楽しむにはお酒は程ほどにしないと、と反省。今度はもっとちゃんと味わいたい。
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by bebalanced | 2006-02-26 17:40 | Gourmet
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